イタリアのかかとってどんなところ?

イタリアのかかとってどんなところ?

"Cartoline dal Salento" = サレントからの絵はがき

南イタリアのサレント。
その土地や、そこで人生を謳歌する人々の姿をイキイキと感じられる絵はがきの
ようにお届けしたい、そんなイメージでスローライフなブログを綴っています。
サレント郷土料理のレシピやイタリア語のワンポイントレッスンも登場します。
どうぞごゆっくり、楽しんでいってくださいな^^

2010/02/14

バロック建築の迷宮 レッチェ Lecce (その4)

Buon San Valentino a tutti!!
今日は2月14日、バレンタインデーですね♪  バンク―バーでは冬季オリンピック、朝早くからFracciaMacciaもテレビの前でドキドキしながら応援しています。




南イタリア紀行「サレントをゆく」シリーズで訪れているレッチェの街も今回で4回目です。レッチェ=バロック建築のほかにも、レッチェの街にはまだまだ見どころがたくさんありますから、今回もさっそく散歩へ出かけてみましょう!



ローマ時代の円形闘技場Anfiteatro Romano(アンフィテアトロ・ロマーノ)は、街の中心サントロンツォ広場(Piazza Sant'Oronzo 聖オロンツォ広場)にあります。
ローマのコロッセオほどの規模ではないですし、半分は地中に姿を隠したままですが、それでもなかなかの大きさと迫力があります。2000年ちかく昔にここで剣闘士の競技が行われていたんですねぇー。当時のレッチェの街の隆盛と人々の活気を感じさせてくれます。
(写真左: 同じ古代ローマ円形闘技場の夜景。レッチェの闘技場は今でも演劇などのイベントで使われている現役です。  もちろん、映画「グラディエーター」のような剣闘はやってませんけど ^ ^;)
この闘技場からすぐそばには、同じく古代ローマの劇場、Teatro Romano(テアトロ・ロマーノ)の遺跡もあります。

ちなみに、このサントロンツォ広場にあるもう一つのモニュメント、ドーンと円柱が立っていますね?この高さ25mの円柱、じつはもともとブリンディシ市 (Brindisi) にあったアッピア街道の終点を示す一対の碑の片割れなんです。正式には "La Colonna di Sant'Oronzo" と呼ばれていますが、17世紀にヨーロッパを襲ったペストの対策に尽力し、レッチェ市民だけでなく多くのブリンディシ市民の命も救ったレッチェの守護聖人(実在の人物なんですねぇ!)聖オロンツォ Sant'Oronzoに感謝を表して、ブリンディシからレッチェに贈られたものだそうです。円柱のてっぺんには聖オロンツォさんの像がのっかり今もこの広場で人々を見守っています。

しかしそんな歴史があったことを知ってか知らずか、現代のブリンディシ市民のなかには冗談まじりに「あの円柱はウチの街の宝だったのにレッチェの誰かが街に忍び込んで勝手に泥棒して持ち出したんだ」なんていう人もいます。
イタリアではよくあることですが、ご近所の町どうしでワイワイ言ってやり合うというのも裏を返せば、二つの街の仲がそれだけ良い証拠でしょうけどね^^
ちなみに余談ですが、レッチェのライバルの街といえば同じプーリア州の大都市にして州都のバーリ。とはいえ普段は特段なにかあるわけではありませんが、ひとたびサッカーの試合になると、お互いライバル心に燃えてわが街のチームを応援します。


その円柱のすぐ目の前にある箱形の建物はSedile(セディーレ)と呼ばれる中世の市庁舎兼市議会議場です。16世紀後半に、ヴェネチア出身でありながらレッチェ市長となり建築家でもあったPiero Mocenigo (ピエロ・モチェニゴ)により、元々あった建物から改築されました。
Sedileのすぐ脇にくっついている小さな教会、Chiesetta di San Marco(サン・マルコ教会)の入り口上部には、ヴェネツィアのシンボルである「翼のあるライオン」の立派なレリーフが構えています。(見えますか?写真をクリックしてみてくださいね☆)
サンマルコという名前自体もヴェネツィアの守護聖人、聖マルコにちなんだものですし、アドリア海の貿易を通じて北のヴェネツィアと南のレッチェがいかに密接な交流を持っていたのかがよーくわかりますよねー フムフム…

さーてお次はレッチェの街でもっとも整然として美しいといわれている Piazza del Duomo (ピアッツァ・デル・ドゥオーモ ドゥオーモ広場) も近くにありますから行ってみましょう♪ この広場の主役であるドゥオーモ(大聖堂)は、これまでに何度か建て直されており、現存するのは16世紀後半に、レッチェ=バロック建築の巨匠 Giuseppe Zimbalo (ジュゼッペ・ズィンバロ) の設計により20年かけて作られたものです。バロック様式とレッチェ石のおかげで、イタリアで最も壮麗なドゥオーモの一つに挙げられるそうですよ☆
その脇にそびえる5階建ての鐘楼 (Campanile カンパニーレ) は高さ70メートルに達し(当時としては超高層だったことでしょうねー!)、そこからは10km先のアドリア海まで見渡すことができ、当時海を越え攻めてきていたオスマン・トルコの艦隊など外敵の侵入に対する見張り台の役も果たしていたそうです。


(写真右: ドゥオーモ内から神学校方面を見たながめ)


このドゥオーモ広場には大聖堂と鐘楼のほかに神学校 (Seminario セミナリオ) もあり、これはさきほど登場したバロックの巨匠 Zimbaloの弟子だった Cino (チーノ) の設計によるもので、1694年に完成しました。前回訪れたサンタ・クローチェ大聖堂とならび、レッチェ=バロック建築の代表作といわれています。
(写真左: 神学校の中庭にあるこの井戸も見事ですねぇ)

ドゥオーモ広場を出て右に行くとサントロンツォ広場を通って南側の玄関 サン・ビアジョ門 (Porta San Biagio) 方面に、左へ進むと西側の玄関ルーディエ門 (Porta Rudiae)にたどり着きます。またドゥオーモ広場を出てそのまま直進すれば北側の玄関ナポリ門 (Porta Napoli) にたどり着きますが、その途中には Palazzo SpadaPalazzo MarresePalazzo Palmieri というバロック様式による貴族の3大宮殿がならんでいて必見ですよ♪ 近くにはバロック様式の劇場 Teatro Paisiello もあります。


ところで、街全体が城壁で囲まれていた城郭都市レッチェ、南北西の3方向には3つの門が配されているわけですが、街の東側はどうなっていたのかなー?とちょっと気になりますね。
今回あらためて地図を見てみると、街の東にはコレがありました → 
そう、これはレッチェのお城で " Castello di Carlo V (カルロ5世城) " といい、1549年に10年かけて築かれました。お城に王様の名前をつけるのってめずらしいなという気もしますが、このカルロ5世という人物は、神聖ローマ皇帝(ハプスブルグ家のドイツとかオーストリア)でもあり、スペイン王でもあり、南イタリアのナポリ王国の王でもあり、南アメリカの植民地も治めていたという当時のヨーロッパ=キリスト教世界ではNo.1の実力者だったのです。そして彼のライバルだったのが、イスラム教徒の国オスマン帝国の大将スレイマン大帝。こちらもアラブの当時の先進科学や軍事技術を駆使して飛ぶ鳥を落とす勢いで、ヨーロッパ中で侵略を繰り返していました。


実際サレント半島は東西の交差点であり、海のすぐ向こう岸は当時オスマン・トルコに征服されていたギリシャですから、再三イスラム艦隊の侵略に悩まされていたわけです。そこでヨーロッパ世界の大将であるカルロ5世が「なんとかしなければ!」とレッチェの街に築いたのがこのカルロ5世城だったのです。外敵が東側のアドリア海から攻めてくるから、街の一番東側にお城を作ったんですねー。。。
お城のスタイルはこの時代の南イタリアによく見られるアラゴン様式。この頃戦争で使われる飛び道具は弓矢から大砲に主役が変わったのにあわせて、城壁は従来より分厚く、一方で壁や建物の高さは低くなりました。いびつな台形の城壁の四隅にはそれぞれ、さらに強固な砦が大きく突き出しています。城壁で囲まれた中心には低層の本丸が一棟ドーンと構えています。
ちなみにこのカルロ5世、広大な領土を治めるため生涯ヨーロッパ中を旅してまわり何か国語も操れたそうで、「馬にはドイツ語で、女性にはイタリア語で、男性にはフランス語で、神にはスペイン語で話す」という彼の言葉は今でも有名です。
なるほど「女性にはイタリア語」ですかー、昔からイタリア語はロマンチックな言語というイメージだったんですねぇ


おーっとあぶないあぶない、また歴史の話が止まらなくなりそうでした^^;  
今回もそろそろレッチェの散歩が終わりに近づいてきましたが、いかがでしたか? 個人旅行でレッチェはじめサレント半島に観光へ行く際に、少しでもお役に立てればいいなと思います。
みなさんレッチェの長ーいお散歩お疲れさまでしたー^^パチパチパチパチ!!!


ぜひ自分の足で目で、レッチェの街を歩いてみてください☆万が一バロックの迷宮で迷子になったとしても、きっと気のいい地元の世話好きさん達が助けてくれるでしょうから、なにも心配はいりません^^


レッチェの街にはCartapesta(カルタペスタ)とよばれる精巧な人形細工や、テラコッタやレッチェ石を使った温もりのある伝統手工芸などもあります。またレッチェ市内には、FracciaMacciaがオススメのおいしいレストランやホテルもありますが、また別の機会に紹介したいと思うので、楽しみにしていてくださいね♪


それではみなさん、日曜の残りも楽しく過ごしてくださいね☆ 
Buon proseguimento di domenica.  Ciaooooooooooo!!


★ 次回予告 ★
イタリアでは今ちょうどカーニバルのシーズン真っ最中です♪ 次回はイタリアの伝統のお祭り、カルネバーレ(カーニバル)についてご紹介しようと思います。お楽しみにー☆

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