イタリアのかかとってどんなところ?

イタリアのかかとってどんなところ?

"Cartoline dal Salento" = サレントからの絵はがき

南イタリアのサレント。
その土地や、そこで人生を謳歌する人々の姿をイキイキと感じられる絵はがきの
ようにお届けしたい、そんなイメージでスローライフなブログを綴っています。
サレント郷土料理のレシピやイタリア語のワンポイントレッスンも登場します。
どうぞごゆっくり、楽しんでいってくださいな^^

2010/03/05

レッチェの伝統楽器 Tamburelloの作り方

Ciao a tutti! Come state?
みなさんお元気ですかー?
今日FracciaMacciaは当ブログの読者登録もしてくださっている、仲良しのイタリア愛好家Yoshikoさんと東京でお食事をしてきましたー♪ "Joscikoさん"ありがとー♪♪♪
お会いしたのは人形町にあるFracciaMacciaのオススメの窯焼きピザ屋さん。あっという間の2時間でしたね!次はいつになるのかわからないけれど、また早くお会いするのが楽しみです♪ 今度はハワイアンバンドのお話ももっと聞かせてくださいね^^




さーて前々回と前回の2回にわたりレッチェのタンバリン作りの名人 Pantaleo Marra さんをご紹介しましたが、今回はそのPantaleoさんの tamburello作りを、実際に見せてもらうことにしましょう♪  「タンバリン」というと、カラオケとか幼稚園などで誰しもが”演奏”した経験があるでしょうし、ちょっと楽器と呼ぶのはどうなの?なんて思われてしまいそうですが侮るなかれ!南イタリアの名人が作るタンバリンはすごいんです!見た目も音色も美しいんです!タンバリンがんばれーパチパチパチー! ^ ^





『南イタリアの伝統打楽器、タンバリンの作り方』


① 皮を石灰水に浸ける
ヤギ(長毛)、子羊または羊(短毛)の皮を使います。Pantaleoさんの場合は、同じ村のお肉屋さんなどから毛皮をひきとって使っています。
毛を皮から取りやすくなるようにするため、石灰水に1週間から10日間ほどじっくり漬けておきます。レッチェ特産のレッチェ石があるように、このサレント地方は石灰質の大地ですから、石灰水のもととなる石灰はいくらでも手に入りますね♪






② 皮の毛を削ぎおとす
壁に打ちつけてあるたくさんの釘に、皮を引っ掛けてはりつけ、江戸時代の職人さんが使っていた「ちょうな(手斧)」のような(巨大な一枚刃のひげ剃りのよう)鉄の道具で、まず皮の外側の毛を取ります。石灰水に浸けてあったので、気持ちいいほどにスルスルと毛が取れます。皮の外側がTamburelloの打つ側の面になります。つづけてひっくり返すと、今度は内側の脂をとります。
そうしたら水に漬けて皮から石灰をしっかりと抜きます。








③ 皮を乾かす
皮を乾燥させるとき専用の、四角い木枠にはりつけて、日なたで乾かします。夏だったら一日、冬だったら一週間ぐらいで乾燥、プーリア州南部の伝統舞踊 "pizzica" など激しいリズムの演奏にも耐えられる、しなやかで丈夫な皮ができあがります。


④ タンバリンの胴枠を作る
円形の木枠、タンバリンの本体といえる部分ですね♪ 材料はおもにブナの木が使われています。ブナ材はヤスリがけした後、長く変色せず白く美しい色を保つことができ、また作るうえでも、しなやかで曲げやすく乾燥しても裂けにくいということで、タンバリンには最適なんだそうですよ。
機械で木の板を帯状に切って、丸くします。釘と接着のりで板の端と端をとめて円い胴枠を作って、紙やすりで角っこを滑らかにします。
胴枠を横に置いてみたとき、水平に切って、二つの円枠に分けます。2つのうち幅の広い方はタンバリンの胴枠本体となり、もう1つのひとまわり小さい方は、胴枠本体の内側に釘とのりで取りつけて、同枠を補強する役割をします。
そうしたら、胴枠の上面のフチを鉋とヤスリで磨き滑らかにし、タンバリンの命である皮が切れたり傷つかないようにします。


このように胴枠の補強にはさまざまな工夫がされているんですねー。激しい演奏に耐えられなければならないのはもちろん、このあと胴枠に皮を張りつけてからさらに乾かす工程でも、皮って乾くときの縮む力が想像をはるかに超えて強いようで、胴枠本体を壊してしまうこともあるのだそうですよ!

⑤ Sonagli(ソナッリ)を作る
ソナッリとは、タンバリンの 胴枠につける金属製の2枚板。いわゆる"シャンシャン"という音のする部分のことです。
小型のシンバルのように、金属製の板が2枚合わさった形をしています。昔は金属の代わりに本物の二枚貝が使われていましたが、現在は主にスズや胴や鉄など様々な素材の金属を、ドラム缶やオルガンはたまた調理器具などから再利用して使っています。さすがエコロジーな職人のPantaleoさんですね☆
もちろん今でも特別なものには、海で集めた貝殻を使っているそうです。世界中の観光客を魅了する美しいサレントの海辺で拾ってきた貝殻とは、これまたエコロジー&ロマンチックですねー^ ^
ソナッリは手押しの穴あけ機を使い、まず金属板から丸くくり抜きます。それにハンマーとノミを使って十字の折り目をつけると。。。ただくり抜いただけの金属板では2枚叩きあわせても音が響かなかったのに、このような加工を施すことによって金属板同士を重ね合わせた時に空間がうまれ、それにより音が共鳴し、ずっと良く響くようになります。
さらに、これをガスバーナーの直火で20〜30秒ほど焼くと。。。こうすると金属が強くなり、音が驚くほど透き通って響くようになるんです!
うーん、さすがタンバリン作りのマエストロ!長年の経験がなせる技ですねぇー!









⑥ ソナッリ(Sonagli)を取りつけるための穴を胴枠にあける
胴枠に電動ドリル穴あけ台で穴を開けます。取りつけるソナッリの数はいつも奇数と決まっているんです。初心者用の標準サイズ、直径30センチのタンバリンだと9個のソナッリがついていますが、タンバリンのサイズにより取りつけるソナッリの個数もサイズも変わってきます。でもかならず奇数個を取り付けると決まっているのは、一体なぜでしょう??



? さぁー♪ 皆さんもご一緒に考えてみましょー♪


それでは正解です!
胴枠を水平に置いて横から見ると、上下交互に繰り返してソナッリを取り付けるのですが、タンバリンを手で持つ部分を挟んだ両端の上下が揃うようにして見た目の良さと重量のバランスを保っているから、なんだそうです。へぇー!繊細さに脱帽ですね☆
どなたか正解がわかった方はいますか??


⑦ 胴枠を仕上げる
胴枠のタンバリンを持つ部分に切りこみをいれて、持ちやすいよう窪みをつけます。
胴枠の下面、皮を張り付けない側も鉋とヤスリで磨き、演奏者が手を傷つけないよう滑らかにします。いやお見事、なんともいえない温かみの感じられる手ざわりです。この胴枠を手にしただけで、なんだか魔法にかかったようにタンバリンを上手に叩けそうな気がしてきます。。芸術に思い込みって大切だったり…しますよね?! ^ ^ 





⑧ 胴枠に皮を張りつける
②の工程で乾かした皮を、ふたたび水に漬けてもどし、柔らかくします。水に浸けて完全にもどすのには3時間ぐらいかかります。皮を少しでも無駄にせず、一枚の皮からなるべく多くのタンバリンが作れるよう様々な直径のサイズの異なる胴枠を組み合わせます。
ときに動物が怪我などによって、皮に傷がついていたりすることもあるため表面を入念にチェックします。
タンバリンに使う皮の部分を決めたら、皮を胴枠にのせて、大きいホチキスでガチャンと思いきりよく張りつけます。


昔ホチキスなどが無かった時代の100%伝統的な製法では、たくさんの小さい穴を胴枠にあけて、細い木材を差し込んで皮を止める方法もあります。
このあと乾く過程で皮が縮むことを計算して、この段階ではあまり強く皮を張りません。余った部分をカッターで切り取り、取りつけ部分が剥き出しになっている胴枠のフチを木枠またはリボン状の飾り布や細い木材の縁取りで覆って仕上げます。
皮が乾くにつれてその収縮力の影響で木製の胴枠が縮んだり歪になるのを防ぐため、胴枠の内側から木の支え棒を十字にあてがいます。
この状態で、まる1日ほど天日干しにして乾かします。












⑨ ソナッリを取りつける
⑤の工程で作ったsonagli(ソナッリ)を胴枠にとりつけて、できあがり!


タンブレッロの完成でーす!☆!☆!☆!☆!☆! 




いかがでしたか?もうここまでくると芸術品の域に達しているといっても過言ではないでしょう?

サレント半島のギリシャ系民族の末裔たちが暮らすGrecia Salentinaを中心に、サレント地方からプーリア州そしてイタリア全国へとどんどん人気が広がっている伝統の踊りPizzica(ピッツィカ)とその音楽を支えるtamburello(タンブレッロ)。 
レッチェ周辺ではお祭りの季節だけでなく、一年中を通して各地でタンバリンのワークショップ(講習会)や展示会などが開かれるほど身近かつ重要な楽器として地元のイタリア人の間に浸透しています。


Pizzicaをはじめとするサレント地方の伝統音楽やダンスなどについても、また別の機会にたっぷりとご紹介したいと思いますので、楽しみにしていてくださいね。


それではまた次回、おたのしみにー♪ 


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★ 次回予告 ★ 
今週末は都合によりお休みして、来週は旬のお野菜を使った南イタリア料理のレシピをご紹介しようかなと(今のところ^^)思っています♪  お楽しみにー!

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